結婚、子育てをしながら歯科医師の両立はできるか

歯科医師を子育てと両立できるか

1980年代後半から増えてきた女性歯科医師が、2012年現在では全歯科医師の2割をしめるようになりました。数でいけば約10万人のうち2万人が女性歯科医師ということになります。問題は子育てや結婚と両立できるのかということです。ここでは特に歯科医師と子育てとの両立をテーマにお話していきます。

歯科医師は女性向けの職場

女性と仕事と結婚は、いつの時代でも常に物議をかもしだしてきた、半ば永遠のテーマと言っても過言ではない問題ですが、少なくとも歯科医師業界に関しては、さほど深刻な声は聞こえてきません。むしろ歓迎ムードが強い状況です。

実際女性の勤勉さや優秀さは多くの業界でも認められてきている事実ですから、女性医師が最前線でめざましい活躍を見せているのは、むしろ自然かもしれません。現実問題女性には出産という大仕事があります。

せっかく仕事を教えても結婚と出産で、すぐ退職してしまうからという理由で、女性の雇用に難色を示す企業が多い中で、パートで女性を積極的に雇用するクリニックが増えているのです。

同じ医療関係でも他分野では出産予定日ぎりぎりまで激務をこなす女性医師を初め、看護師らの過酷な職場の実態が、しばしば問題になっていますが、歯科医院ではそういった話も一切聞こえてこないのです。歯科医師は子育てとの両立がしやすい、女性にとっては理想的な職業でもあるのです。

一般的な歯科医師の一日

女性歯科医師の子育てと仕事との両立を問う前に、一般的な歯科医師としての一日をみてみましょう。開業医でも勤務医でも歯科医師の場合はさほど違いがありません。

おおよそ午前中9時頃から多くの診療所では診察が始まっていますから、歯科医師と看護師などスタッフは1時間くらい前には出勤してきて、申し送りや診察準備をします。

おおよそ12時ないし12時半には午前中の診療が終わり、ゆっくり14時頃から14時半くらいまで休憩をとります。再び午後に向けての申し送りがすんでから15時頃から17時、ないし17時半くらには閉館します。

中には18時半から19時頃まで開所しているところもありますが、30分程度の後片付けをして遅くとも20時頃には帰宅できるところが大半となります。歯科医師はさすがに救急病棟も急患もめったにでないですし、基本的に残業がありません。

他医療施設からみたらうらやましいほどに、余裕のある過ごし方になっています。歯科医院には歯科衛生士や歯科助手ところによっては臨床心理士さんがいて、歯科医師が効率よく治療を進められるようにフォローしてくれますから、ほとんど残業にはなりません。

もちろん研修会や学会もあるのですが、週に一度のペースですから許容範囲内です。これなら女性の歯科医師でも子育てとの両立は比較的楽にできるにちがいありません。

育児中はパート勤務でOK

結婚せず自立を目指す女性が多い一方で、婚活に励む若い女性も増えているのが2018年度現在の状況です。少なくとも結婚したら出産を年頭に入れておく必要があります。

子どもが小さいうちはちょっとしたことで熱を出すのが、子どもであり少なくとも3つまでは、母親が密着して寄り添うことが重要とも言われているものの、それがネックになってなかなか仕事にありつけない女性が多いのが現状です。

スーパーのレジや品だしあるいは工場などの仕事なら、パートで働くというスタイルが当たり前になっていますが、実は歯科医師の世界でもパート勤務のドクターが増えつつあるのです。開業医ともなるとなかなか自分の勝手にできないことも増えるでしょうが、勤務医ならある程度の自由がききますから、子育てとの両立が希望の女性歯科医師にとって、これほどありがたい職場はありません。

実際毎日出勤する人もいますが、週に一度だけとか子どもが保育園に行っている間の午前中だけといった選択もできます。家族に気兼ねなく子育てとの両立を実現できていることにより、気持ちのゆとりもできますから、患者さんにも良い治療ができるはずです。

特に小児医科ではぎゃんぎゃん泣きわめく子どもをもてあます若い母さんたちにも、同じく子育て中のお母さんの立場から、適切なアプローチを親子共々そろってできるようにもなります。

実際女性ならではの柔らかい物腰から、大人の患者さんとも良い信頼関係を結びながら、地域に貢献している女性歯科医師は大勢いるので。まさに歯科医師こそ子育てと仕事の両立が不可欠な女性にぴったりの職業なのです。

勤務先の歯科医院の立場は


女性にとって歯科医院は子育てとの両立が簡単ですから、とても働きやすい職場環境になっている様子が、様々なところで見聞きできるのですが、当の雇用主なる歯科医院側は実際どう考えているのでしょうか。2012年現在ですでに2万人ほどの女性歯科医師が誕生しているのですが、そのうち2人に1人が20代という若い女性たちなのです。
今どき20代で結婚する人ばかりではないですから、初めは独身でスタートとなるでしょうが、いずれ結婚、出産となりしばし職場を離れていくかもしれない人たちです。多くの歯科医院はそれでも女性歯科医師を積極的に受け入れていますし、パート勤務も難なく承認しています。

むしろパートだからこそありがたいというところのようです。正規になると高い給与を支払わなければなりませんが、パートなら安い給与で雇用できますから、女性歯科医師にパートで働いてもらうことは、医院にとってもメリットの大きいことなのです。

何よりも若い女性歯科医師なら男性よりも警戒されずに、スムーズに治療を受けてくれる人が多いだけに、集客数も増やせるなど、いいことづくしです。

女性歯科医師の平均年収

女性歯科医師の平均年収がいかほどになるのかを、データ化したものがありますから見てみると、働き初めてまもない20代では男性との差がさほどありません。しかし30代は男性よりもかなり低い年収になっています。ちょうど出産して子育てとの両立が始まるころですから、パート勤務に切り替えるケースが増える影響も考えられます。

ところが子どもから少し手が離せるようになり、子育てとの両立にさほど神経を使わなくてすむ40代では、一気に男性以上に稼ぐ女性が増えています。もちろんこの年代は男性も最高額になるのですが、女性で1400万円台を稼ぐ例は、そうそう他ではみられないのではないでしょうか。

ようやく女性の本領発揮といったところでしょう。
さすがに女性といえど開業医はリスクが高く大変ですが、それでもがんばって開業医で励む女性も多いですから、歯科医師という職業は子育てとの両立を抜きにしたとしても、女性にとって良い環境に恵まれた職業であることが、ここからもわかります。

恵まれた待遇も女性歯科医師を増やしている

国保に職域国保というのがあります。一般の人が加入している国保とは少しだけ違っていて、検診補助がついていたり、後期高齢者組合員保険事業関連の保証がついていたりなど、加入しておくと手厚い保証を様々受けることができます。

歯科医師専用も職域国保も当然あります。全国レベルで歯科医師なら誰でも加入できるものなのですが、いくつかある特典の中には、出産費資金貸付制度というのもあります。使い方はほとんど普通の国保と一緒です。

自分が勤務している診療所では使えないといった制約はあるものの、いざという時には割得で出産ができるので女性歯科医師の多くが結婚と出産という大きなイベントも不安なく迎えることができるのです。仕事と子育ての両立もこれなら難なくできるのではないでしょうか。

女性歯科医師が少しずつ増えてきたというのも、女性が子育てと仕事の両立で悩まなくてすむ環境が、こうして整えられている影響が大きいといえます。この環境は他職種ではなかなか見られるものではありません。

男性の歯科医師を囲む環境の過酷さはしばしば聞こえてくるものの、子育てとの両立にみられるような女性の地位向上だけは、確実に見られるという点で、歯科医師の展望に明るい光を見いだす人も多いのです。

女性歯科医師も独立開業できるか

女性でもがんばって独立開業して開業医をしながら、子育てとの両立をしている女性歯科医師も少なからずいます。職域国保のように一定の保証がある国保を利用して、安心環境での出産と子育ておよび仕事との両立が不可能ではありませんが、厳しいのは男性と同じなのです。

今の時代自己資金0ではやはり銀行の信用を得るのは難しいでしょう。最も経費がかかるのはやはり歯科特有の特殊機器の購入さらに10年もすれば家屋はさすがに傷んできますから、患者さんたちに少しでも良い印象を持ってもらうためにもリフォームは欠かせません。

それにしても初期費用で5000万準備するのは大変ですから、親に資金の一部を出してもらって開業にこぎつける人もいます。

男性はそれでも家族を養う責任がありますが、女性は女性で立派に子育てをやりぬかなければなりませんから、開業は夢として大事にしながらまずは勤務医として働きながら、歯科医師をできる限り長く続けられるように、励むのが賢明かもれしれません。

女性歯科医師の子育ての両立問題は比較的ゆるやか

男女社会参画が様々なところで叫ばれているものの、社会の中心はやはり男性優位である点はなかなか変わりませんから、女性の子育てと仕事の両立をめぐる問題は、なかなか難しい問題です。そうした中でも女性歯科医師が子育てと仕事を両立させながら働く環境は、とても緩やかです。

ここまで子育ての両立に寛大な職場はそうそうあるものではないため、労働環境はとても女性に優しいと言って良いかもしれません。